地域パートナー取り組み紹介「桜開花時のエコステーション運営(中目黒村美化委員会)」
2025.04.23
春の風物詩として国内外から多くの観光客が訪れる目黒川の桜。
その美しさの裏で深刻化するゴミ問題に、長年にわたり立ち向かってきたのが、地域パートナーである中目黒村美化委員会。
今回、WORLD CLEANUP DAY JAPAN事務局からも参加をした清掃活動について、同委員会の代表を務める道城征央さんがレポートを寄せてくれました。
地元目線だからこそ伝えられる現場のリアルと、地域一体となった「エコステーション」の取り組みに、ぜひご注目ください。
私が住む中目黒(東京都目黒区)には今や世界的観光名所で目黒川の桜並木が有名であります。桜が開花されると多くの花見客で賑わうのですが、反面ゴミ問題に悩まされています。特にここ数年インバウンドによるオーバーツーリズム問題も深刻で比例するようにゴミ問題も年を追う毎に酷くなっています。
私が主宰する任意団体の中目黒村美化委員会では十年ほど前よりエコステーションを桜開花時に設置、そして運営することにしました。そして今年は3月29日、30日、4月5日、6日の4日間設置しました。目黒区としては「ゴミはお持ち帰りください」「ゴミは販売店(露店)へお戻しください」を貫いております。しかし目黒川の花見は上野公園のそれとは大きく違います。公園の敷地でござを敷いての花見ではなく、川沿いの道路を歩きながら、ビールやシャンパンを片手に持って飲み食いしながらの花見になります。また道路は一方通行規制されており、一度下流方面を歩いて下ると販売店へ戻ることはほぼ不可能になります。またゴミのお持ち帰りも不可能でしょう。ビールの入っていたカップやお好み焼きのマヨネーズの付いたトレイを持って中目黒駅から電車に乗って帰れますか?無理です。誰もがそこら辺へポイ捨てしたくなります。しかし花見客が来ることで街も潤うのなら、エコステーションを設置して、持ち帰らせず積極的にゴミを回収すべきだと思い、このような場所を作ることになりました。
当初私が住むマンションの外構部だけにエコステーションを設置しておりましたが、それだけでは限界を超え、増設を目黒区に要求しました。行政の対応としては渋々というのが目に見えていたのですが、昨年2024年より2箇所増えて3箇所での設置になりました。
さらに東急東横線の中目黒駅からは「男子便所の小便器の上がプラカップだらけになる」という要望をもらい、駅構内での設置を検討しました。目黒区としては日々の清掃業務がパンクする、清掃工場に負担がかかるので4箇所目の設置はやめてくれとの意見をもらいました。しかし東急電鉄の協力のもと、エコステーションで回収したゴミは東急自らが処分するということで駅構内でも設置することができました。ちなみに他の3箇所で受け取ったゴミは目黒区が無償で回収してくれています。
ちなみに4箇所にあるエコステーションの運営人員ですが、中目黒村美化委員会のメンバーのほかに私が講師を務める専門学校の学生、近所にある目黒学院の高校生、そして町会、商店街の方々であります。町会の方々ですと案外高齢の方も多く、負担にはなっているでしょう。逆にイベント会社などにエコステーションの運営を任せれば、環境教育を加味し子供も参加させ、多くの自然環境の問題、川の先にある海洋環境の問題への取り組みもできるでしょう。しかし私はイベント会社などの部外者に任せる気は毛頭ありません。高齢者が携わっているだけに色々と行き違いもありますし、非効率な面も浮き彫りになります。それでも地元のことは地元の人がやるべきです。
環境の世界には“Think Globally, Act Locally”という言葉があります。まさに中目黒村美化委員会が主宰となって色々な地元の方が参加してくれているエコステーションはその良い象徴だと自負しております。
【参考資料】
4日間で回収した量
可燃ゴミ:389㎏
ペットボトル:18㎏
空き缶:35㎏空きビン:60㎏